山小屋の基本
トレッキングは日帰りで行うことも多いですが、キャンプや山小屋で宿泊して、連日トレッキングを楽しむのも楽しいものです。 ここではそうした泊まりがけのトレッキングに必要な山小屋とキャンプについて、基礎知識から道具の選択まで幅広く紹介しています。
山小屋で宿泊する
ひと口に山小屋といっても色々なものがあります。1,000人以上の収容が可能な近代的な小屋、ランプの灯る昔ながらの小さな小屋、料理の美味しい小屋、温泉のある小屋等。山小屋には山小屋の数だけ個性があります。そんな小屋を訪ね歩くのもいいでしょう。
山小屋は原則的に予約なしで泊まれることになっています。それは、予約のない登山者がビバーグを強いられることになり、命にかかわる問題に発展しないようにするためです。しかし、近年この原則が崩れつつあります。有名な山域の大きな山小屋では個室を設けるようになり、個室希望者に対しては予約を義務付けるようになった。シーズン中多くのハイカーでにぎわう尾瀬の山小屋でも、予約を導入し、予約のないハイカーは泊まれなくなってしまった。こういった事態を避けるためにも、山やコースの情報収集と一緒に事前予約をすることをオススメします。
何時頃に到着すればいいの?
登山の鉄則で「早発ち早着き」がります。「朝はなるべく早いうちに動き、余裕を持って目的地に着く」ということです。これは、午後から山の天気が崩れやすいのと、日暮れまでの時間に余裕があれば冷静に対処できるということ。それと、薄暗い中の行動は危険なので危険回避の意味もあります。山小屋に到着する目安としては、午後3時前後。山小屋の夕食は午後5時ぐらいからですので、遅くとも午後4時までには到着しておきましょう。夜6時以降の到着は言語道断です。
山小屋での飲食について
山小屋では、食材の調達をヘリや人力による荷揚げによるものがすべてです。その食材は、保存が効くわけではないので、なるべく早く消化する必要があります。こうした制約から、山小屋の食事は質素なものになりがちでしたが、近年オーナーさんたちの経営努力により一昔前にくらべると良くなってきています。ビーフシチューやステーキ、鍋料理や揚げたての天ぷら、名物店主による鍋焼きうどんで有名な小屋もあるぐらいです。オーソドックスなおかずでも、レトルトや缶詰ではなく、キチンと調理されたものを温かいまま適用してくれる小屋もあります。
しかし、一方では、一昔前の缶詰や佃煮、冷たいご飯と味噌汁といったものを出す小屋もまだまだあるようです。山小屋のご飯が受け付けないぐらい体調がすぐれない、疲れてしまって食欲がないといった事態を想定して、缶詰やふりかけ、漬物など、好物の副食品を持って行く事をオススメします。
山小屋で買える物
山小屋にも売店があって、おみやげが帰る。大きな小屋になればなるほど品揃えは豊富です。どの小屋にも置いているのが、ジュースやビールなどの飲み物の類。これは、定番メニューで日本酒やウイスキーやワインなどアルコール類も置いている小屋もある。その他に絵葉書やバッジやバンダナ、Tシャツなどオリジナリティに富んだおみやげもポピュラーなところです。
山小屋での生活と設備
近年、シャワーや水洗トイレといった設備が充実している山小屋が増えてきているが、それはごく少数で、現実はまだ昔のままだったりします。基本的に山小屋では入浴ができないと思っていたほうがいいでしょう。ただ温泉を兼ねている小屋では、秘湯気分を満喫しながらトレッキングができます。
山小屋のトイレそれと、気になるトイレ。すっかり現代は水洗・洋式トイレが当たり前だが、山小屋のトイレは基本、ただ穴を掘っただけの暗くて臭い「ポットン便所」が当たり前だと思って間違いないでしょう。それと、山小屋のトイレは紙が置かれていませんので、使う人はトイレットペーパーを持って入ります。それと環境のためにも、水に溶けにくいティッシュペーパーの使用は避けるようにしましょう。また、夜間や消灯後にトイレを利用する場合は、ヘッドランプが必要なことが多いです。必ずヘッドランプを枕元に用意しておきましょう。
どんな部屋で寝るの?
山小屋によって部屋のタイプは違ってさまざまです。畳敷きの和室だったり、板張りの大部屋だったり、ウナギの寝床のような細い部屋もあれば、予約が必要ですが個室を用意している小屋もあります。山小屋では原則的に相部屋になります。普通は男女関係なく到着順に寝場所が決められていきます。小さな相部屋がいくつかある小屋は、男女別に割り振る場合もありあます。中には旅館のような和室や超デラックスなスイートルームを設けている小屋もあります。
緊急時の避難小屋
避難小屋とは、管理人が入っている営業小屋に対して、管理人が常駐せず登山者に開放されている小屋を言います(無人小屋とも言う)。ごく一部の小屋を除き、避難小屋には寝袋や炊飯用具などは用意されていませんので、食料はもちろん、ストーブやコッヘル、ランタン、シュラフなどを自分で担ぎ上げないといけません。また、ストーブは置かれていても、燃料の薪まで用意されていないことが殆んどで、冬場は特に充分な寒さ対策が必要です。避難小屋を利用する際には、事前に地元の役場や管理者に連絡を入れておきましょう。なかには、天候の急変などの緊急時以外の使用を禁じている小屋もあります。使用料は1泊500円程度だが、無料で使用出来る小屋も多くあります。小屋によっては老朽化していて使えないものや、シーズン以外はカギが掛かっていることもあるので、事前に必ず確認しましょう。
山小屋の物価
山小屋の物価は、基本的に高いです。例えばジュースが200円、缶ビールが400円という感じで、昼食にインスタントラーメンを作ってもらっても500円ぐらいはする。しかし、これは山小屋に物資を運び上げるヘリコプターや人力に頼らなければならない実情がある。そのために莫大な費用が掛かるうえに、その後の客の残したゴミの処理や水の確保、燃料の運び入れなどもヘリコプターや人力に頼らなければならない。そのための経費が乗っていると考えましょう。
キャンプで宿泊する
歩くばかりのトレッキングも楽しいのですが、時間をかけてゆっくり山の中で過ごすキャンプならその魅力は何倍にもなります。もちろんキャンプをするなら、調理道具やシェラフ、テント、食糧など荷物はどんどん増えていきます。自分の力だけで、山中で生活することが、自分がさらに自然に近づいたように思え、新たな発見ができるに違いありません。好きな場所へ好きな日数旅できるのがキャップのいいところです。
しかし、どこでもキャンプが出来るかというとそうではない。国立公園内などは、「キャンプ指定地」と決められた場所があり、水場がきちんと整備されていた、トイレがあったり、サイトが整地されていたりと場所によってさまざまですが、使用料を払ってキャンプをするのが決まりになっている。その他の場所でも、キャンプをする際には火の取り扱いや、トイレなどの最低限のマナーは守って、楽しい山旅をしましょう。
ツエルトがあると緊急時に便利
ツエルトは三角屋根の形をした簡易テントで、緊急時におもわぬビバーグ(露営)や荷物の軽量化が必要なスキーツアーなどに使用される。別売りのポールを支柱にして張り綱で固定してテントのようにして使われる。フロアの部分が開閉できるようになっていて、風の強い時や、寒い時にこれを何人かでかぶって休憩すると快適である。他に雪洞の入り口を塞ぐのに使ったり、動けなくなった人を搬送したりと用途は様々だ。
